本当はこれをしたくないと思っていても、第三者の介入で致し方なく悪化を手伝ってしまう場合。例えば幼い子を持つある母親は、自分の子には出来るだけ薬を飲ませたくないし、その子自身の自然治癒力を大事にしてあげたいと考えているにもかかわらず、姑の迷惑な御節介でそれが阻まれる。
子供が姑の前で元気そうにしていないと、姑から「あなたがだらしないから子供にカゼなんかひかせるのよ。」などと嫌味を言われ、叱られるので子供が熱を出している事を姑に悟られないように、しかたなく解熱剤を飲ませて病気を隠す。高熱が出ており、本来症状によりぐったりしてしまう状態であるにもかかわらず、薬の効果で症状が抑え付けられているので苦痛が少なく、子は自分が病気である事など忘れて元気そうに遊び、走り回り、そして子は体力の限界が来て倒れる。
なぜ病気をすればぐったりするかというば、それは身体に苦痛があるからで、身体を休めなさいという身体の持つ自然治癒力の意思表示。苦痛を一時的にでも薬でおさえ付けてしまえば、病気なんていう概念など意に介さず走り回ってしまう。ビルの火災にたとえれば、火災報知器のスイッチを切っただけで、火災そのものは放置されたままの状態に同じ。燃え盛って朽ち果てるまで気づかない。
残念なことに母親の中には、薬を飲ませたことにより、子供が元気そうになったのを見て「治った！」とぬか喜びをしている方も多い。残念ながら全く治ってないし、カゼを治す特効薬などこの世に存在しないので治るはずがない。おとなしく寝かせていればすぐに治っていたものが、脱水症状を引き起こし、病院にかつぎこまれて即入院・・ほとんど幼児虐待ですね。
ちょっとした風邪の度に解熱剤・抗生物質を飲まされ続ければ、子供の発育にとって悪影響が出るのは当たり前と考えられる。これは私が治療を通して感じていることであるが、幼少の頃よりちょっとした風邪の度に解熱剤・抗生物質を飲まされ続けた子は、体温が低下（平熱で３４〜３５℃）、肌はカサつき青黒くなり、アレルギー体質へと変わり、原因不明の湿疹かぶれが慢性化してしまう状態にとてもなりやすいと思う。実際、この青黒い皮膚を持つ状態になってしまった子供が治療に来た時に、その母親の話を聞けば、大した状態でなくとも小児科を頻繁に利用している場合がとても多い。
子供が元気そうにしていないと不安なのは当たり前で、また子供が風邪をひいたり病気する事も当たり前。母親として不安だからといって、すぐ効く薬（すぐ症状を押さえ込める薬だが）をくれる小児科を探し受診させ、解熱剤に抗生物質、重篤な副作用を後に引き起こすステロイド剤を安易に子供に使おうとするのは完全に異常な事であると私は考える。
また悪質な小児科医院が至る所にあり、子供のちょっとした湿疹かぶれでもステロイド剤を安易に処方する。「この薬はステロイドが入っていますか？」と質問しないと、ステロイド剤であることを隠し、言わない。質問すれば、「これは一番軽いやつだから大丈夫。」さらに福岡ならではと言える迷セリフ「この薬はＫ大（ｷｭｰﾀﾞｲ）病院の先生もよく使われているものだから安心ですよ。」などと安心の根拠が全く示されていない訳の判らぬ返答があり、さらには患者説得用のステロイド薬の種類別の表を持ち出し、使わせようとしているステロイド剤が一番軽いやつであることをなぜか必死に主張するところもある。その主張の仕方を見れば、ステロイド剤を使わせる事が”うしろめたいこと”であるのがよくわかる。またそれを安易に納得してしまう患者さんも少なくないのも残念と思う。
治療奮戦記に戻る。