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福岡市中央区薬院、鍼灸専門・高木治療院のホームページです。

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ホワイティ薬院302号

どもり赤面奮戦記

あの頃は辛かった。


 自分自身ではあまり劣等感を持っていませんでしたが、鍼灸師の高木は大学卒業の22歳頃まで、どもり・赤面症がありました。今はすっかり無くなっていますが、厳密にいつ治ったのかは定かではありませんし、また特別この症状に対して医療機関その他では何の治療も受けていません。

 まず、私の「どもり(吃音)」についてですが、物心付いた頃からありました。普通に会話している時でも、たまに突然喉と口がケイレンするというか何というか、喋り出しの最初の一音にどの音をつかおうとしても、「かっ・・・かっ・・・」と言葉が詰まってしまう。「あの、」「そうだ、」「でも、」など、どの母音でも、たまに出るのです。若干不便は感じていましたが、この事について、からかわれたりする事が少なかったのが、今思えば自然治癒した理由であったと思います。

 年齢を重ねるごとに、「どもり」は減っていきましたが、大勢の人の前で発言するとき(いつもではない)や、特定の単語、特に言いにくい言葉でもない人の名前とかで何故かどもってしまうものがありました。何年も「どもり」と付き合っていくと、発症する傾向がだんだん解かってきて、それの対策も色々と自己流でやりました。

 学生時代には大方治ってきたのですが、何故かどもってしまう特定の言葉「物療室(ぶつりょうしつ)まで、お越し下さい。」など複数ありまして、どもらないようにひたすら家でその言葉の発声練習を繰り返しました。家ではある程度普通に言えるのですが、いざ病院のアルバイト先での本番となると、「ぶっ・・ぶっ・・かっ・・・・・」と、マイクに向かってもがいているだけになってしまっていました。 職員の方から、「高木君、何言うとるんかわからへんわ。早よ言わんでええねんから、落ち着いて喋ったらどうや。」とアドバイスを頂いたことにより、この言葉を言う時になぜか無意識に早口に言おうとしてしまっている傾向があることに気がつき、「物療室まで、(3秒休み)お越し下さい。」と言う、というアイディアが閃き、実践していくうちにどもらずに喋れることが出来るようになりました。

 「どもり」は、体調管理も重要なことがわかり、疲労していたり何らかの不調があるときほど、よく発症していたこともわかりました。

 もしかしたら、これが私の「どもり」を治した決定的な言葉かもしれない、というのがあります。

 もうすぐ大学卒業という頃、私が友人に自分の「どもり」について何気なく話した時の返答で、「例えば子供が”どもる”のって、脳と神経と筋・骨格の成長にそれぞれ差があるから、頭と口がうまく連動してないだけらしいよ、だから秀樹(私)の脳はまだまだ成長してるってことなんじゃないの?」と、おそらく彼も何気なく言ったのだと思うのですが、この言葉が琴線に触れました。この彼の学説の真偽などどうでもいい、ただ生まれてはじめて「どもり」を肯定的にとらえた言葉を聞いたから、ただそれが素晴らしく嬉しかった、感動的だったという記憶が今も強く残っています。


 赤面症も、どもりと同時期からあって、ほぼ同時期に治ったようでした。とにかく自分の意志でどうにもすることが出来ない、誰が見ても一目瞭然、みるみる顔面が赤くなってしまうこの症状は、どもりの数倍苦しいものでした。ウソをついたら鼻が伸びるピノキオのような、でもピノキオの鼻よりよっぽどタチの悪いのが赤面症というものなのです。

 それは、ただ単純にウソをついたら顔が赤くなるのであれば、きっと大リーグ養成ギプスならぬ、「良い子養成ギプス」のごとくに、正直であれば赤面しないのですが、ウソをついていなくても、心に迷いが出るだけで赤面してしまうのでした。

小学生時代によくある風景

先生「この花瓶を割ったのは誰!?」

 とクラスの児童全員を睨み回す、すると疑われるのが怖いだけで、犯人じゃないのに赤面してしまう。先生の睨みが明らかに動揺している私にロックオン、蛇に睨まれた蛙、みるみる顔に熱を持つのが自分でもよくわかる、気持ちは焦り、焦りが赤面化を勢いづけ、額から汗まで吹き出る始末。

先生「あなたですね!」

ああ先生、僕じゃないよ、ピノキオの鼻だったら伸びないのに・・。

 この時はこの後すぐ、犯人が自首して冤罪は晴れましたが、その後も様々な場面で様々な誤解を与えてしまうこの厄介な症状。たまには思わぬ良い方向に作用したこともありましたがやはり厄介でした。

 どうやら、赤面すると困る場面ほど赤面するらしい、焦るほどに発症するということがわかってきたのですが、決定的な対処法がなかなか思いつきませんでした。赤面に関わるトラウマ(心的外傷)があったのかな、などと学生時代に色々考えていました。

 克服出来たのは、断定出来ませんがおそらくこれかな?という方法を実践したのが、大学3年の夏でした。「日焼け」です。

 テレビを何気なく見ていた時のこと、とある黒人のタレントさんが「もう緊張して顔まっ赤だよ〜。」と言い、でも肌が黒いから赤面してもわからないというネタをやっていて、こんな簡単な理屈になぜ今まで気づかなかったんだ!と早速実践しました。大学の講義の合間に外で昼寝、週末は舞鶴方面に海釣りなど、とにかく日焼けする環境を作り、日焼けしました。それは雨の日に長靴で水溜りに入り、長靴の中に水が入ってしまうと無敵になるようなあの状態のように、かなり黒く日焼けしてしまうことにより、ある意味赤面症に対して無敵になることが出来ました。

 遠慮なく赤面出来る、そして肌が黒いから周囲に気づかれない。

 この頃を過ぎてからか、意味なく赤面することがなくなりました。無理して日焼けする必要がなくなり、顔にシミが残りました。


 上記はあくまで私の体験談で、しかも簡略して書いてます。
 全てのどもり・赤面症が上記のことで治るとは到底思えません。実際、患者さんの「どもり」の治療を経験しておりますが、複数要因が絡まり、ある条件が揃い出現しているというもので、しかもその条件というものが人それぞれ違うということが解かってきました。条件の中には、鍼灸で治療可能な身体の状態もあります。

 鍼灸で、「どもり」が治るなんて、理解しにくいと思いますが、当院の鍼灸治療によって、消失可能な発症条件を持っている場合であれば、「どもり」はほとんど出なくなる訳です。

 説明がなかなか上手く出来ないのですが、心理的状態に伴う身体の状態の変化、による心理的状態の変化、による身体の状態の変化、というような(わかりにくいと思いますがすみません)発症に到るサイクルのような感触を実体験で感覚的に掴んでおりまして、このサイクルを途中で止める事が鍼灸治療で可能な場合が多くあります。
 私独自の、どもり発症のメカニズムとでも言いましょうか、こう考えて治療に取り組み、それなりの成果をあげることが出来ています。


 当院の治療で、本当に治るかもしれません。


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