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ホワイティ薬院302号

ぎっくり腰治り損ない

まさに体の要。腰痛は生活にも痛い。

 慢性的に腰の悪いという人。当然生まれつき腰が悪かったという人も居られると思いますが、多くは過去に腰を痛め、少々の痛みはガマンしながら、治ったようなまた治らないような、憎悪と軽快を繰り返し日々を過ごす、すっきりしないけどガマンすれば、仕事を休まずに済むし、じゃあ治療に専念すれば腰痛とオサラバ出来るのかと言えばそうは思えない、だから慢性腰痛、腰痛持ち。

 あと○十年は現役で仕事を続けなければならない、その腰痛の度合いと仕事を天秤にかけながら無理を重ねる。定年まで腰が持てばそれに越したことはない、ただ腰は度重なる”ぎっくり腰の再発”に加え、純粋に加齢による老化がその憎悪を加速させる。

 腰痛にたまりかねてリタイアしている人だって少なくない。病院で「背骨が少し曲がっている」なんて説明受けて、判ったような判らないような、あきらめろって事なのか。

 巷に慢性腰痛が溢れているのは、多くの場合、治るべき腰痛を治らせない社会が原因であったりする。ノド元過ぎれば熱さ忘れる、そんな悲しい性もまた、慢性腰痛の原因だったりする。

 一般に病気は、早期に治療すれば治癒する確率も時間も早いが、長引いてしまって慢性化すれば、治癒する確率も低い。アンバランスな身体の状態が安定してしまい、自然治癒力がマイナスに働いてしまう場面もあるからである。(関節が固まってしまったり色々あります)

ブロック注射、あれは麻酔。神経が圧迫されて生ずる痛みを、麻酔によって止める。麻酔が切れればまた同じ状態、悪い所が治る訳ではない。こんな長い前置きから、ある症例を紹介します。

患者 20代男性   職業 パチンコ店勤務
 仕事中、中腰で重たい物をグッと持ち上げた時に腰がピキっときた、ガマン出来る程度だったのと、仕事の忙しさもありそのまま仕事を続けてたと。仕事が終わり、その日は一応日常生活は何とか送れた
のだが、次の日の朝、目が覚めて起き上がろうとしたら、腰に激痛があり起き上がれない。
 立って歩くのもままらないので仕事を休む、次の日も動けずに欠勤。三日目にしてようやく立ち上がれるようになり、さらにその2日後仕事に復帰、しかし腰の抜けるようなだるさと、不意に来る腰の激痛、痛みをだましだまし仕事を続けて2ヶ月、立っているかうつ伏せに寝ていないと、腰の痛みだるさが取れずにひたすらツラい。椅子にも座っていられない。とにかく毎日が必死、食費や家賃の支払い等を考えると仕事はもう休めない。

 患者さんの今月の赤字は必至、とにかく仕事はもう休めない。残業もそろそろやって行かないと、家賃が払えない。仕事しながら、そう、腰を痛めながら回復に持っていかなければならないという状況。

 とにかくやるしかない、という事で早速治療に取り掛かる事になりました。

 伏臥位で腰背部全体を観察すると、右側の起立筋の膨隆が目立つ。腰の圧痛を探しましたが、著名な圧痛はなく、右側が筋張っていて、強く押さえると左に比べてやや鈍痛を感じるという。腎兪から小腸兪(腰のあたりのツボです)あたりより脊際側(背骨の際)の所までが特に筋張って堅く、痛みもこのあたりかもしれないと言う。

 脉診でもって身体の状態を確認、適切と思われる処置をした後に立ち上がってもらい、腰の動作をしてもらうと、ゆっくりではあるが、前屈が70度まで曲げる事が出来、後屈もまったく出来なかったのが、10度くらいは反れるようになり、患者さん曰く「腰が軽くなった。」との事。

 2回目の治療は翌日の午前11時前。昨晩は気付かない内にソファーに座ったまま寝てしまったという。ソファーに無意識に座っていたという事は、腰の状態が改善した事を意味しており、1回目と同様の治療を行い、動作で治療成果を確認すると、前屈が90度まで曲がり、動作自体少し速くなったようでした。

 3回目は同日午後10時頃。2回目の治療後、患者さん曰く、昼食時にレストランで2時間椅子に座ったままでいたが、腰のだるさは出なかったという事で、喜んで頂けた様子。前回とほぼ同様の治療を行い、すぐに休んでもらいました。

 4回目は翌日午前8時頃、出勤前。治療前に前屈動作を確認した所、角度は90度を超え、前屈位で自分の足首を掴めるまでに改善し、患者さんは喜んでいました。

 5回目はその日の正午の昼休み。腰の改善が予想以上に早く、患者さんの金銭的負担も考慮に入れて、とりあえず一区切り、最後の治療となりました。4回目の治療よりやや軽めのメニューにして、患者さんが自分で出来る灸療法を指示し、治療を終了しました。最後に腰の可動域を確認しましたが、前屈は100度位、後屈は30度まで反れるようになりました。まだ完全な回復には至っていませんが、患者さんは満足してくれました。


          約6ヶ月が経過しました。


 半年振りにその患者さんに再会した時は、腰の事などすっかり忘れており、「そういえば、そんな時期もあったな。あの時は大変やった。」との事でした。当時まだ仕事初めて間もない頃でしたが、その後異例のスピード出世、役職に付き、店舗の中心スタッフとして活躍中との事。現在、数ヶ月に1回は体調管理に治療しています。

 実力があるのに怪我に泣かされるのはスポーツ選手だけでは無いですね。身体が少しでも楽になると、どうしても仕事を優先してしまう人、優先せざるを得ない人、仕事よりもプライベートを大切にする人、両方を器用にこなす人、大切にしている事柄は人それぞれ。

 病院に行けば、多くの場合は一方的に「仕事やすみなさい」と簡単に言われるみたいですけど、治療のプロならプロのプライドに賭けて最善の道を患者さんと共に模索するべきであると思うのですが。仕事やスポーツを続けながら、痛み止めの誤魔化しでは無く本当の治療を。

 患者さんからすれば、”病気を治す”事も当然重要ながら、”病気による生活の障害を除去する”事もすごく重要な訳で、それを無視するのはどうかと思いますね。健康ってのは、心身共に健やかなる事ですから。


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