福岡市の鍼灸専門高木治療院、野球肩の治療。

またマウンドに立てた・・でも野球熱の再燃しすぎに注意。

　眼精疲労を訴えて来院された患者さん、仕事のトラブルで数日間の長時間残業が続いてしまったとの事。楽しみにしている週末の草野球チームの練習日を控え、野球の練習でボールが良く見えないのは困るからと、治療に来られました。



　そんな野球が大好きなAさん（３０歳代の男性）、リトルリーグ時代からピッチャーであったのが、中学、高校と肩を段階的に悪くしてしまい、ピッチャーを断念。不本意ながら現在は草野球チームで内野手としてプレーしているとの事。

Ａさん「一球だけなら全力で投げれるんですけどね・・・、でも投げた直後に肩がグワ〜っと痛くなってきて、もう次全力で腕振ったらブチッっといきそうな感じになって・・本当に悔しいんですよ。この痛みが無ければ今のチームで俺がエースのはずなんですけどね。」

高木「それでしたら、肩が治った方が嬉しいですよね？」

Ａさん「いやいや、そりゃそうですけど、肩はもう壊れてますから無理でしょう。」

高木「肩、多分治せると思いますよ。根本的に。」

Ａさん「え〜、本当ですかぁ〜？　スポーツ選手も行くような病院でもダメでしたよ〜。」

　半信半疑、いや、信用わずか疑い9割の様子のＡさん。でも高木の方は、Aさんの背広の上着を脱ぐ時の肩の動かし方で、問題の原因や治療すべき箇所は大体想像が付いていましたので、まあ一応ということで軽く診せてもらうことになりました。

　高木は、Ａさんの肩周辺を触診。触診しながら、「問題の箇所は、ここと、ここと、それから・・・」と、硬結（硬くなってしまい、筋肉としての作用を失っていると考えられる部分）のある部分を次々と押さえてきます。肩甲骨の周囲の筋肉に、関節の動きを邪魔する小さな（直径１〜５cmほど）古傷部分と思える固まりが数箇所存在していました。肩の周囲の筋肉が、部分的に硬くなってしまい、うまく収縮出来ていない状態です。

Ａさん「それ痛い、あ、そこも痛い、・・そこはよく痛くなる場所・・」

高木「この痛い所の状態を一つ一つ治していけば、肩関節の動きはずっと良くなりますよ。」

Ａさん「そう言われると、なんか治るような気がしてきました。今日は肩の治療でお願いしたいです！」

　肩甲骨の動きを妨げる筋肉の硬結を上手い具合に無くしていくと、スムーズな肩関節の動きが戻ってきます。高木はこの種の硬結をイメージとして、筋肉にコールタール状の重く粘っこい液体が濃く染み込んだ場所が点在しているように捉えています。根本的治療として、それを目立つ順に無くしていく作業になります。鍼灸治療にて、それぞれ筋肉の異常個所の修復を強く促すように働きかける種類の施術を行います。

・・・・・・

　初回の治療後、Aさんは右肩に左手を添えながら、右ひじを曲げた状態で、ゆっくり右腕を廻し、「うわ！」と、思わず嬉しそうな声をあげる。明らかに感触が変わったと感じられたようです。

　今回のAさんの治療の場合、当院での治療は月・木・土の週3回を２週間、その間野球練習は禁止、キャッチボールもシャドウスイングもストレッチも禁止。6回目の施術の後、3日空けてから、軽いキャッチボールを数分から徐々に慣らすようお願いし、実践頂きました。筋肉の古傷の回復の邪魔になるようなことを徹底して禁止して頂いたのです、その方がより早い回復を得られるから。

　治療前は、無意識に古傷をかばうように投げていたのが、以前よりスムーズに肩が廻り、「まるで長年放置で錆び付いていた機械が、注油を受けて機能回復したみたいだ。」と、後に仰られていました。

　6回の治療で完全治癒ではありませんが、ピッチャーとして復活しました。初回当院を訪れてからおよそ2ヶ月後、ピッチャー復帰後の初試合で、リリーフとして登板、３０球ほど投げれたと喜ばれていました。今は下半身強化とフォーム改造に取組んでいますと、嬉々として話される様子に、本当に野球が好きなんだな〜と、つくづく思わされました。

　変化球の練習のやりすぎで、今度は肘を痛めた、と再来院したのが数ヵ月後・・・。野球熱が再燃してしまうのも、これまた厄介なものかもしれません。でも、それだけ夢中になれる趣味があるというのは、真に幸福であるに違いないです。

　当ホームページ内「何年も前の事故の後遺症」にも書いておりますが、医者に見離された症状でも、鍼灸師なら治せるという場合は多々あります。それが昔からの症状であろうともです。完全に閉ざされたと確信していたピッチャーの道、再びその門戸が開く可能性があるとすれば、取組まないと損です。


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