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福岡市の鍼灸専門高木治療院、胃の不快感の治療。

福岡市中央区の鍼灸院です。
〒810-0022 福岡市中央区薬院1-6-5
ホワイティ薬院302号

胃の不快感の鍼灸治療stomach problems

胃の不快感が主訴の患者さんの症例。


 胃の不快感が主訴の患者さんの症例です。
「胃の不快感」には、沢山の種類があります。症状の感覚が様々であるために、 この”腹部の不快感”を言葉にするのが難しくて悩む患者さんが多くいらっしゃいます。鍼灸師の高木も、様々な種類のこの症状の治療に取り組んできました。

Sさん 40歳代の女性

 時期は曖昧だが、30歳代の頃からか、味覚が変わったというか、食べ物の味が、どれもあまり美味しく感じなくなった。それから、何か食べると背中が痛くなる、腹痛が起きる、食後に全身倦怠感が強く出る、など色々な苦痛が出るようになった。朝、ベッドから起き上がれない日が出てきた。これは何か重い病気ではないかと病院へ。
 血液検査、胃カメラの検査の結果、特に異常なし。胃粘膜を保護するという薬を出されて「様子をみましょう。」
 薬を服用しつつ、症状は回復しないので、2件目、3件目の大病院、そして人間ドック・・・診断は、「軽い胃炎」→「自律神経失調症」。薬は「胃腸薬」→「精神安定剤」。そして心療内科への受診を薦められ・・・。病院じゃダメだと、漢方薬局、整体、市販の乳酸菌錠剤の服用・・・、ダメ元で今度はハリにでも行ってみよう、ということで当院に来られたとの事。

上記内容をお話頂いている途中から、患者さんの目には涙。八方塞りで出口が見つかる兆し無し、の感情がひしひしと伝わってきました。お話を聞いている間、高木は患者さんの両手首の脈を拝借しての脈診、足首から足先の温度、皮膚の状態の望診切診(見て触れて観察)、その他色々な情報を得る。

 高木は、患者さんが実際に体感している苦痛を脳内シュミレーション。言葉を擬似的にでもそれを感覚に翻訳し、高木自身の身体感覚に再現させる、つまり擬似的にでも、患者さんの苦痛を共有しようという作業で、これがなんと言うかズバっとハマる(表現が難しく・・)と、患者さんの身体のどこに原因があるのか、疑わしい場所のリストがパっと浮かびます。臨床経験から得た特技です。

高木「まず明らかに経穴(ツボ)に、健康ではないことを現す反応が出ている所がいくつかあります。」

 と、足の甲や背中にある圧痛点(押さえられると独特な痛みを感じる部分)を示し、その数箇所を実際に軽く指で圧していく。

Sさん「あ、痛い。痛気持ちいいのと痛いの間くらい!」

 患者Sさんの表現が上手。ここで高木が圧した場所は、東洋医学で血ヲ(けつお)と言われる状態の場所で、東洋医学で言う血(けつ*血液ではない)の流れが滞ってしまっている場所をピンポイントで見つけた所。高木に押されて痛かった足首の経穴を、Sさんもご自身で押してみるも、「あれ、ここでしたっけ?」と、自分で押しても痛みを感じない。
 反応点は大小様々で、見つけるのはそう簡単ではなく、正しく圧するにはミリ単位の精度が要求されます。

陰陽虚実を弁え補寫すべし(いんようきょじつをわきまえほしゃすべし)

 弱っている所は補ってあげて、強すぎる所は弱めてあげる、東洋医学で病気を治すということについて、この言葉に全てが集約されています。「陰陽虚実を弁え補寫」さえ可能であれば、多くの疾患を治せるのですが、まあこれがとても繊細な技術を要求されるもので、習得が大変どころか、一生かけても「極める」領域にたどり着けるかどうか、というものです。

脱線しました、症例に戻ります。

 全身倦怠感と胃の不快感、この2つの関係は密接です。胃腸が健全に働けていない時、その身体は必ず倦怠感を覚えます。胃腸は長く働きを止めれば、胃腸内の内容物が腐敗して身体が滅んでしまいますので、それを防ぐため、相当に疲弊していても、無理やりにでも働くようになっています。この「無理に胃腸を働かせている状態」こそが、その人の体力を何割も奪っているのです。体力の多くを胃腸の回復と活動に充てている状態になっているのです。
 胃腸が健全ではない、ということです。そしてその原因は、東洋医学的な観点から平易に言えば、胃や腸を養っている機能が正常に活動しておらず、胃腸そのものの回復力が大きく低下させられているから。今の段階で鍼灸師の高木がSさんにすべき施術、それは胃腸そのものの回復力を引き上げる施術、となります。

「陰陽虚実を弁え」ました。
では治療です。
「補寫すべし」、します。

 見つけた経穴の反応が消失するように鍼灸術を施します。ただハリ刺せばいいというものではありません。経穴の病的な反応を消失させるには、そことはまた別の経穴を使わねばならない場合が多く、さらにその経穴に、どのような刺激、つまり鍼をすればいいのか、灸をするべきか、鍼ならどの種類の鍼をどれだけの刺激量で行うか、灸であればその経穴に据える灸の数、もぐさの使用量など、全部違います。当ホームページ内にて繰り返し書いていますが、「○○病にはこのツボ!」なんて言うのは実際の臨床の現場では全く役に立ちません。

Sさん「痛くないんですけど、刺さないんですか?」

高木「今のお身体の状態への治療としては、刺さない鍼と灸が最適ですね。」

 鍼や灸の施術をしながら、Sさんと高木との会話は続きます。

Sさん「あ、そうだ思い出した。もう10年くらい前になるんですけど、会社の慰安旅行の温泉旅館の夕食で、生の牡蠣食べて、もうお腹こわしてヒドい目にあったんですよ〜。あの時から悪くなってたかもしれません。それ以前は元気だったかも。」

Sさん「そうそう、あの牡蠣事件のあと、しばらく食欲が無くて、病院に点滴受けに 行ってたんですよ。で、治って・・それからですよ、食べた後に気分が悪くなりだしたのは。」

Sさん「何だかお腹あたりが温かくなってきた!こういう感覚、久しぶり。」

 この時の高木の治療のイメージですが、胃に張り巡らされている管の周囲に、その管を押し潰すように邪魔な岩がゴロゴロと転がっているのを、管に当たらないように動かしたり、モロい岩は粉砕し、管内を通る栄養をスムーズに胃に送るようにしたような感じです。

高木「本当に治せます。治療期間は長くなるかもしれませんが、原因がこれで、それをどうすれば治る、ということが判りましたから。」

Sさん「・・本当に治るものなら治したいです。続けてみます。」


治療2回目、初回から3日後に来院。

Sさん「まだ辛いですけど、食べた後に背中が痛くなるのが、ちょっと和らぎました。」

 脈を拝見、各経穴の反応を一通り確認。前回と比べ、経穴の反応の強さ、位置など、ガラっと変化しています。慢性疾患の場合は特に、まるで「もぐらたたき」のように血ヲが次々と現れます。もちろん、治療を進めていくごとにその数は減っていきます。そしてその数の減少に比例して、症状が軽くなっていきます。

 前回と同じ場所、そして違う場所にも鍼や灸を施術。

 治療3回目、4回目と、東洋医学的に診て、身体のあちこちにあった滞りを減らしていき、ゆっくりとSさんの症状全般が軽くなってゆく。

 Sさんの場合、最初の1ヶ月は週2回の治療、2ヶ月目からは週1回の治療ペースで、3ヶ月ちょっと治療を頑張って頂き、症状の残り20%ほどで一旦終了となりました。もう朝ベッドから起き上がれないほどの倦怠感は出なくなって、やっとまともな生活が送れるようになって嬉しい、と大変喜んでいただけました。



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