原因は診方を替えれば見つかるものです。
病院の検査に何も引っかからない、でも当院の治療で回復可能な吐き気もまた、色々なパターンがあります。その一例としての症例のご紹介です。
Bさん、30歳代の女性。
もちろん病院には何軒も行き、脳のMRI検査やら心電図まで、あらゆる検査を重ねて「異常なし」。病院以外の治療も鍼灸含めて色々やったが、治らずお困りのBさん。当院にて慢性頭痛が治った患者さんからの紹介で来院されました。吐き気の他にも、ノドの違和感、カゼ引いていないのに、喉が腫れているように感じることがよくあるとの事。
病院で言われたのは、「胃炎の軽いやつ」「逆流性食道炎」「自律神経失調症」「ストレス性胃炎」
東洋医学的に診ていくと、専門的な言葉を排して表現してみれば、胃が疲れて働きが鈍くなっているのと、咽喉あたりから上、顔も含めて、水分の排出が不十分なことによる「むくみ」が生じているような状態、でした。病院で原因不明なのは当たり前、彼らがお持ちの医学書に一切載っていない概念ですから。
治療です。
東洋医学的に診たBさんの嘔吐症状の原因
嘔吐の行為そのものが、強い負荷のかかる全身運動でもあり、胃液を存在してはならない場所に流し込まれてしまう訳で、これが胃や食道を荒らしてしまっています。胃や食道の修復スピードを引き上げつつ、嘔吐の引き金に関与していると考えられる部分の「むくみ状態」が消失するような変化を促す鍼灸施術をしていきます。
健全に胃が働かないことには、むくみは消えません。
Bさんの場合は、肩甲骨の右内側と、背中でちょうど、鳩尾(みぞおち)の裏側あたりに著明な経穴(ツボ)の反応が出ていました。それぞれの箇所に適切な施術、鍼と灸を行います。さらに足首あたりにある反応の出ている経穴に、お灸をそれそれ50壮づつ据えました。一箇所に50回もモグサを燃やすなんて熱そう!と思われるかもしれませんが、うちでは苦痛を我慢するような、痕が残るような灸法は使いませんので、施術を受けている側は何の苦痛もありません。
Bさん「そうそう、先生がハリしてくれた背中のところ、いつも凝っているみたいなだるさがあって、気になっていたんです。」
Bさんの仰られた”背中のところ”は、肝臓の裏側の左側、ここの反応は特に顕著で、内臓を間接的に常時圧迫していたように想像されました。
一通りの施術が終わり、一回目の治療終了。
Bさん「あ、あのノドからあごの所あたりにある、あのモヤモヤが少ない!」
高木「吐き気が遠くなったような感じ、ですか?」
Bさん「そうそう、調子いい時の、吐きそうってことを忘れる時がある感じ。」
高木「今は軽く感じるかもしれませんが、まだまだ状態は不安定ですので、しばらく治療続けてみて下さいね。」
Bさん「吐き気が無くなったら幸せですから、来ますよ!」
Bさんのお仕事の都合で、状況により週1〜2回のペースの治療、2ヶ月経過した頃には、吐き気をほぼ感じない日の方が多くなったということで、10日に1回の治療ペースに。およそ3ヶ月経過した頃に、ほぼ無症状、ということで治療終了となりました。
食べ過ぎたり、仕事が忙しくなると、また少し吐き気が出現し始めてしまうので、その後はたまに来院されています。
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