みのもんたさんを責める訳ではありません。ですが、彼の発言により当院での治療効果を損ねてしまう患者さんが、少数ながら後を絶たなかった事実は、変えようがありません。
「はい!こ・こ・だ・け・注目して!
冷え性にはトウガラシ!いい?、ここ重要だから今日しっかり覚えて帰ってちょうだい、ねっそこのオシャレなワンピース着たお嬢さん。どっから来たの? ん? 千葉の館山から、あら〜〜・・・。」
足の冷えと胃腸の不調を訴え、午前10時に来院された患者さん、当院の治療で「トウガラシなど刺激の強い食品の摂取は症状を悪化させますから、治るまで控えてください。」と鍼灸師の高木に言われたことなどすっかり忘れ、みの氏の
あのお昼の番組の絶妙な話術にすっかりハマってしまい、その日から、朝食夕食の味噌汁に必ず一味トウガラシをふりかけるという、自傷的習慣をはじめてしまいました。
冷え性が治るどころ日々体調は悪化、胃痛と吐き気、食欲不振に陥り、足の冷たさも悪化し、頭がのぼせ、ふわふわ浮いたような不快感に時折耳鳴りまで出てきてしまいました。毎食のトウガラシが胃腸を荒らし、健康が蝕まれていきました。
冷え性と一口に言っても、様々な原因が存在します。たとえば身体全体の体温が低い場合もあるし、下半身だけ温度が下がっている場合、また手先足先だけ温度が低い場合、腹部周囲が主に冷たい場合など、冷える部位だけ分別しても多種あり、さらにそれぞれその原因となっているものが多種あります。そんな様々な原因に対して、一つの手段が万能に働くはず無いのに・・。
ここで問題。
鍼灸師の高木は、上記文章で何が言いたかったのでしょうか?
もっとも当てはまるものは、次の3つのうちどれでしょう。
1番.トウガラシは身体に悪い。
2番.トウガラシは冷え性に悪い。
3番.トウガラシは悪くない。
正解は・・・。
まあ、3番です。
この患者さんのこの時の身体の状態では、トウガラシを摂取すべきではなかったということであり、トウガラシが全ての人にとって健康を害するというものではありません。
今の問題で、1番や2番が正解だと思った人、メディアに踊らされがちな人かも?。良いと悪いでしか判断しない習慣が身に染み付いてしまうと、思慮が浅くなります。
○○は健康に良い!大学の教授も認めた!などとテレビで放映し、視聴者の思考を働かせることなく鵜呑みにさせるように仕向けられている、いわば洗脳番組と表現しても差し支えないもので、その習慣に慣らされてしまっている部分があるかもしれませんが、メディアに踊らされるのは避けなければならぬ事と思います。
この患者さんは、トウガラシを摂取したことにより体調が悪化してしまいましたが、全く原因の違う冷え性を持った別の患者さんがトウガラシを摂取して、体調が良くなる事も少ないケースですが普通にありえます。
大事なのはイメージじゃなくて、中身(本質)でしょう。
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