NHKの「ためしてガッテン」という健康番組で、こんなコト放送してしまって大丈夫？と思う所について、書きます。トリガーポイントがどうのこうの、の番組を観た方にとって、興味ある話題かもしれません。
この番組の公式HPによれば、慢性痛についての特集を、2008年の11月と2009年3月の２回に分けて放映したとのこと。そして、この番組内で言う「痛む理由が見つからない」（＝病院で原因が見つからないの意味）の原因は、神経の誤作動で脳が勘違いしているだけの状態が原因であるなんて断言してしまっています・・・。しかも、「最新治療術」だなんて・・・あ〜あ、情けない。
ためしてガッテン公式HP 2009年3月4日放送分記載箇所より引用
「もんでも温めても治らない頑固なコリ」と思っていた痛みのほとんどは、脳の錯覚の痛み、つまり「幻」だったのです。
こんな半分以上デタラメを明記してしまうなんて・・・。「NHKだから信用出来る」、なんて人がいっぱい居るくらい、影響力大きいのですから、ホント気をつけて頂きたいものです。
まず一つ、トリガーポイントに麻酔薬をぶち込むのが最新治療術とか述べている点について。私の母校、明治国際医療大学（旧明治鍼灸大学）や他の研究機関にて、1980年代から盛んに研究、同時に臨床応用もやってるのが20年以上前の話ですからね。まあヘルニアに首や腰の牽引なんていう旧石器時代と揶揄されそうな事を未だにやってる日本の整形外科からすれば、20年前でも最新治療術のカテゴリーなんでしょうかね、全くもって情けない話です。
次、「もんでも温めても治らない頑固なコリ」と思っていた痛みのほとんどは、脳の錯覚の痛み、つまり「幻」だったのです。というデタラメ。例を挙げればキリがないのでとりあえず２例、MRI検査にて頚椎症と診断され、でも手術するほどでもないという状態の方、当院に来院する方の２〜３割がこのような症状を持った方々ですが、背中に多く筋肉の硬結、反応点が出現しています。まさに「もんでも温めても治らない頑固なコリ」の状態ですが、これは脳の錯覚でも何でもありません。これをトリガーポイントなどと誤診してブロック注射しても永久に治りませんし、マッサージなどやろうものなら、確実に悪化します。交通事故等で起こるムチウチ損傷、痛めてから数ヶ月異常経過しても治らない痛み、レントゲンにもMRIにも異常を見つける事が出来なかったら、脳の錯覚の痛み→トリガーポイントなんでしょうか？違います。これをトリガーポイントなどと誤診してブロック注射しても永久に治りませんし、マッサージなどやろうものなら、確実に悪化します。
そして、ペインクリニックというものについて。「麻酔屋さん」であります。麻酔薬は神経を一時的に麻痺させるだけです。麻酔薬で根本的治癒がどう期待出来るというのでしょうか？
ためしてガッテン公式HP 2008年11月19日放送分記載箇所より引用
痛みを感じたときからすぐに治療をはじめれば、慢性痛への移行はかなりの確率で抑えられます。逆に、痛みを感じ始めてから長い年月が経っていると、治療にも長い時間がかかってしまいます。その場合でも、あきらめずに治療すれば、良くなることが多くあります。
この歯切れの悪い言い回しが、何を意味しているか、判りますよね。繰り返し記述しますが、ブロック注射はただの麻酔です。本当に根本的に回復の望める治療手段だったら、上記引用記事のような、曖昧な表現はしませんよね。あたかもブロック注射という手段により治りますと意図的に誤解させようとしつつ、治せますとは決して書いていません。だって書けませんよ、ウソになっちゃいますからね。
と見事にペインクリニック宣伝番組に仕上がっています。具体的な連絡先まで掲載してまして・・。
まあ、カネがどこかからどこかに動いて、って話なんでしょうかね。
あれ？NHKって受信料制度によって報道の中立性・公平性を確保、じゃなかったでしたっけ？トリガーポイントの研究に熱心な関西鍼灸大学・明治鍼灸大学等について、また鍼灸の有用性についての話題は？？ 商売敵だからダメなんてこと絶対にないですよね？だって報道は中立公正であるべきなんでしょ？NHKさん？
ブロック注射を続けると良いなんて受け取れそうな番組ですが、度重なるブロック注射で回復困難な慢性の「凝り」や「痛み」が形成されてしまうケースは実際よくあるのですが、こういった危険性については報道しなくていいんでしょうかね？
この番組の内容を信じたが為に、マッサージや整体に行って症状を悪化させてしまい、当院に来院した方が立て続けに来院されましたので、あえて書かせていただきました。
原因が判らなかったら「トリガーポイント」または「うつ病」なんでしょうかね、今の西洋医学ってのは・・・。
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