福岡市中央区の鍼灸院です。
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ホワイティ薬院302号
PFCとは、たんぱく質=Protein、脂質=Fat、そして炭水化物=Carbohydrateの頭文字であり、各マクロ栄養素の摂取バランスを整えることが重要であるというお話を、前のページで書かせて頂きました。
ここでもう一度、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版の概要」からの数値を見てみましょう。
たんぱく質 13~20%
脂質 20~30%
炭水化物 50~65%
摂取比率の目標としての値として、上記が適しているのかどうかの判断については、専門家の中でも賛否両論あり、特に糖質(炭水化物)の摂取比率が多すぎるのではないかという意見の文章をよく見かけます。ですが、高木の意見としては、「PFCバランスを全く考えていなかった人が、とりあえず目標とするには、大変相応しい妥協ライン」と考えています。
日本人の食事スタイル「ごはんとおかず」は、カロリー摂取の柱を糖質(炭水化物)に置いて、それを主食とし、そこに魚や肉などのたんぱく質摂取を目的とした主菜と、ビタミンミネラルの摂取が目的となる野菜のおかず→副菜で構成されています。
*これに「味噌汁」などの汁物を添えるかどうかは、塩分摂取量を考え、各人の運動量や発汗量で決めるべきであると思います。
上記文章では、脂質が出て来ません。これは、脂質が多くの食材にある程度含まれているので、脂質が不足するケースが極めて生じにくいからであると考えて良いと思います。むしろ気を付けないと、脂質過多に陥りますし、実際日本人の大多数が脂質摂取過多である、つまりアブラの摂り過ぎであると高木は確信しています。
食物の脂質量について、注目してみましょう。例えば写真の食物「鮎(あゆ)の塩焼き」ですが、このマクロ栄養素とPFCバランスを見てみます。
この例では、1匹の養殖鮎を、こんがり塩焼きにしまして、焼きあがった状態で200g、頭と骨とはらわたは食べないことにして、食べれる身の部分(可食部)が100gとします。栄養成分情報は、「文科省の食品成分データベース」の値を用います。
鮎の塩焼き(可食部100g)のマクロ栄養素
たんぱく質 22.6g
脂質 15.1g
炭水化物 0.8g
では、そのPFCバランスを知るために、マクロ栄養素のカロリーを算出します。
たんぱく質 90.4kcal
脂質 135.9kcal
炭水化物 3.2kcal
PFCバランスのカロリー比率を算出します。
たんぱく質 39%
脂質 59%
炭水化物 2%
魚に塩まぶして焼いただけですよ、油塗ったりしていません。それでもこれだけの量の脂質が含まれているのです。カロリーのおよそ6割が脂質からのものです。
この鮎の塩焼きを主菜として、米飯を主食としてみましょう。
炊いた白米150gを茶碗1杯として献立に加えます。炊いた白米なので、150g中90gは水分です。
ごはん(茶碗1杯 150g)
たんぱく質 5.3g
脂質 0.5g
炭水化物 54.2g
カロリーを算出
たんぱく質 21.2kcal
脂質 4.5kcal
炭水化物 216.8kcal
9割近くが糖質(炭水化物)であるので、PFCバランスを考える際、この分量を調節すれば、炭水化物の摂取比率を容易に操作出来ます。
では、「鮎の塩焼き可食部100g」「ごはん茶碗1杯150g」、主食と主菜を合わせたPFCバランスを算出してみます。
まずはカロリーを合算
たんぱく質 90.4kcal+21.2kcal=111.6kcal
脂質 135.9kcal+4.5kcal=140.4kcal
炭水化物 3.2kcal+216.8kcal=220kcal
総カロリーは472kcal。 PFCバランスは以下の通り。
たんぱく質 24%
脂質 30%
炭水化物 46%
主菜の魚の脂質がカロリーを押し上げてしまっている印象があります。白米の分量を増加させれば、PFCバランスは厚労省基準に収まりますが、総カロリーが主食と主菜だけで500kcalを超えてしまいます。脂質量により、養殖鮎はダイエットに適した食材かどうかは微妙、と高木は考えます。
鮎の塩焼き。脂っこいイメージがあまり無い魚で、これだけの脂質です。では、キングサーモンのバターソテーは?、サバの塩焼きは?、うなぎのかば焼きは?・・もっとすごいですよ・・脂質の量が・・・。魚、ダイエット中の食事の献立として、主菜に持ってくるには不適な食材が多いです、ご注意下さい。
脂質の少ない魚もあります。例えば、減量中の筆者高木がよくお世話になる食品、それが、「かつおのたたき」です。注意点としては、春獲りと秋獲りで脂質量が大きく変わる事です。いわゆる、”あぶらの乗った美味しい季節”の魚は、脂質が多いのです。
かつお生・春獲り(可食部100g)のマクロ栄養素
たんぱく質 25.8g
脂質 0.5g
炭水化物 0.1g
このたんぱく質含有量にして、脂質と炭水化物の少なさ、ダイエットに用いる食材として、とても優秀です。
ちなみに、あぶらの乗った秋のかつおは・・
かつお生・秋獲り(可食部100g)のマクロ栄養素
たんぱく質 25.0g
脂質 6.2g
炭水化物 0.2g
春獲りに比べ、秋獲りのものは脂質がしっかりと乗ってきますが、それでもPFCバランス的になかなか良く、高タンパク低脂質な優良食材と言えます。さらに、後のページで紹介しますが、魚から脂質を摂取する大切さにも関わる事になりますので、秋獲りかつおも、ダイエット食材として積極的に取り入れると良いと思います。
PFCバランスを考える事、めんどくさいです、はっきり言って。しかも、栄養の知識がしっかり無ければ絶対出来ない芸当です。おそらく世の中の大半の人が、こんな事やりませんし、そもそも実践するための知識が全く足りていません。
でもですね、だからこそ「あまり食べていないのに太る」などという思考が蔓延し、ダイエット失敗者が減らないのですよ。あなたの周囲で、去年太っていた人の圧倒的大多数は、今年も変わらず太っているでしょうし、おそらく来年も同様に太ってますよ。
だからこそ、こんなかったるい文章を飽きずに読んで下さっている方には、是非、栄養の知識豊富な少数派の一員になって頂きたいと願っております。「体重のコントロールなんて、大体思い通りに出来ます。」と、サラっと言える人になれるよう、どうぞまだまだお付き合い下さい
前ページと本ページで、PFCバランスとは何かについての説明をさせていただきました。次のページでは、そのPFCバランスを整えるために意識すること、についてお話していきたいと思います。そもそも太りすぎの人は、摂取量だけではなく、栄養バランスもデタラメです。そしてそんな栄養バランスが整うだけでも体重が大幅に減る可能性大なのです。
本当ですよ。
このページのまとめ |
魚料理は脂質が少ないとは限らない。 日本人の大多数は、脂質摂取過多、つまりアブラの摂り過ぎである。 |
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