「高木先生は、痩せる鍼やってくれるんですか?」痩せる鍼の質問を受ける機会は、依然として多いです。当院では、痩せるハリというものを一切やりません。
普通に治療を進めていくうちに、むくみや冷え性が解消されて脚が細くなって足首のくびれが出てきたり、肌のキメが本来の健康的な細かさを取り戻して、表情が明るくなったり、化粧ののりが良くなったりする事は普通にあります。心身共に健康になることこそが、本来の容姿の美しさを手に入れることに繋がると思います。
なぜ痩せる目的だけの鍼をやらないかと言えば、まず鍼灸術単体で、皮下脂肪が減少するなどという事は起こり得ません。そもそも、患者さんの求める体重に落とそうと思えば、そのリスクは大きく、思わぬ症状が現れてきたりします。体重と健康の相関性もまた、単純な比例・反比例なものではありません。(少なければ健康って訳ではない)何より、鍼灸術を用いて、無理矢理に食欲減退を引き起こそうとすれば、患者さんを不健康にするという事に繋がりかねませんから。
そもそも、お金を支払えばラクに痩せさせてくれるという他力本願な姿勢の方は、大抵失敗しますね。たとえ素晴らしいダイエットメニューと時間が与えられても、実行するのは当人なのですから。実行力が無いからダイエットに今まで失敗しつづけてきたのですから。
また、痩せる時に大事なのは、余分なお肉をなくす事ですよね、ぜい肉1キロ無くすためには、7000キロカロリーの消費が必要と言われており、食事制限だけで出来る限り早く痩せようとすれば、丸三日間水だけ飲んで食事を一切断ってはじめて余分なお肉1キロがやっと消えてくれます。
テレビ番組の企画やダイエット商品、芸能人の書籍で、「3日で5キロやせた!」みたいな事を堂々と記している場面を多々見ますが、あれは半分インチキです。というのは、たとえ体重計測定の結果事実であったとしても、3日で5キロの余分なお肉がなくなっているのではなく、むくみとしてあった水分や血液中・肝臓などに蓄えられていた栄養、そして3日前に大腸にたまっていた大便の重さが減少した5キロの内訳のほとんどであるという事。
ダイエットを経験された方なら身を持って体験されていると思いますが、ダイエット開始より最初の3キロ程は、ある程度スムーズに落ちていきますが、その先はなかなか減りませんよね?でも、このなかなか減らないのが本当に望む体重減少、ぜい肉が減っているリアルな数字なのです。4〜5キロは簡単にリバウンドするというのにも、余分なお肉以外の要素が含まれており、体重だけで安易に判断するのは間違いです。
体脂肪計もあてにならず、体重計測時の体の水分量は毎回違い、その差は簡単に体脂肪率に誤差を生みます。
痩せなくてはならない強烈な動機さえあれば、ダイエットは地球に優しく経済的な行為のみで成功するのではないでしょうか。スポーツクラブに車で通うなら歩けばいいじゃん。
という訳で、当院ではダイエット目当ての治療はお断りです。他を当たってください。そもそもラクして痩せる施術なんて、出来る所など実在するのでしょうか?
治療奮戦記に戻る。