福岡市中央区薬院、鍼灸専門・高木治療院のホームページです。

　
　ちまたに溢れる健康情報、発信者達の真の意図について、常に考えていかなければ、情報に翻弄されるだけです。ネタは沢山あるのですが、これを書いているのが花粉症シーズンであるという事から、今回は乳製品を取り扱う業界の方にとって、不都合な事実の、ほんの一部をネタバラシしつつ、テレビ番組を盲信しない大切さについて書きます。



テレビ番組の健康情報の問題点

　テレビ番組で放送される健康情報は、スポンサー絡みの偏った内容にしかなりません。テレビを見ていますと、食べ物、飲み物のコマーシャル、とても多く目にしますよね。ご存知の通り、テレビコマーシャルを流したい会社は、その社のCMを放送してもらうかわりに、その対価として、その番組の制作費を出す、つまり会社は番組のスポンサーになる訳です。



　当然、お金を払っていれば、制作される番組の内容に介入する権利を持ちます。そして、自社製品にとって有利な内容になるように、不利な内容は含まないように要求するのが普通です。例えば、とある健康番組のスポンサーとして、ヨーグルトのCMを流したい会社があるとしますと、その番組は、ヨーグルトに対して否定的な内容を一切加えてはいけないという条件での制作を余儀なくされます。宣伝される製品にとって、不都合になる要素を一切排除しつつ、有利な情報だけ伝わるように、番組は制作されます。



　「ヨーグルトは乳酸菌が豊富で、大腸の健康を保って便秘解消！！」なんて陳腐な言い回しは使ってOK、ですが、不利な情報は隠蔽（いんぺい）するのです。例えば、歴史的に乳製品をあまり摂取してこなかった日本人の多くが、乳糖の消化酵素であるラクターゼの分泌量が少なく（つまり乳糖不耐傾向）、乳糖が多く含まれる食物である牛乳やヨーグルトを摂取すると、腸内での乳糖の分解が不充分となって、それがしばしば下痢を引き起こす要因となるのですが、この事実はヨーグルトを販売する上では、とても不利な情報です。



　仮に、便秘で悩む人がヨーグルトを食べて、お通じが良くなったとしますと、それはヨーグルトの乳酸菌の働きによってではなく、乳糖不耐の下痢で排便が誘発された状態、つまりヨーグルトが下剤の働きをしたから、という可能性が否定出来ません。でも、ヨーグルトを販売する会社としては、この事については一切悟られないように、黙っていれば、嘘をついたことにはならない、と考えるのでしょう。

　もちろん、ラクターゼの分泌量に問題が無い方、つまり乳糖不耐症ではない方であれば、ヨーグルトが下剤の働きをするような現象は考えにくいです。上記の文章では、「乳糖不耐症の方、不耐症気味の方は、ヨーグルトに気をつけましょう。」という注意喚起を含む内容にはなりますが、決して「ヨーグルトを食べると下痢をする」なんて書いていませんよ。あともう一つ、乳糖不耐症と乳製品アレルギーは全くの別物です。

さらに追い打ち

　胃腸のトラブルを抱えて、当院に治療を求める方は多いです。そして、ヨーグルトを食べることでその症状が改善されるという例を、高木はあまり診たことがありません。それどころか、患者さんが自発的に良かれと思って無理して食べていたヨーグルトを、止めて頂くことで症状が改善した例は沢山あります。

　「私の場合は、ヨーグルト食べるとお腹こわすんですよ〜。でも周囲はやたらと、ヨーグルト食べれば？って言ってくるから困ってます。」、「母親に無理やりヨーグルトを食べさせられて、憂鬱です。」と、ヨーグルトの存在に苦しめられている患者さんも少なくないです。



　ヨーグルトは乳酸菌が豊富・・・事実なのですが、もし腸内の乳酸菌を多くしたければ、ヤクルトを飲むか、乳糖不耐の方であれば乳酸菌のサプリメント（錠剤タイプは乳糖コーティングされているので、カプセルタイプを選ぶ。）の服用の方が断然効果的です。花粉症だからヨーグルトを食べるようにしているという方には、乳酸菌のサプリメントの服用をお勧めしますよ、より安価でより大量の乳酸菌を腸に送り込めますし、腸内環境の改善も格段に早いです。

もう一つ追い打ち

　そして、この記事が「ヨーグルトは身体に悪い」と書いてある、などと理解しない事です。食物について、「良い、悪い」というだけの判断をしたがるのは、知的怠惰の典型例、頭をなるべく使いたくない人が好む手法、何故ならば、論理的思考と理解を不要として、ただマルかバツかだけを暗記するだけの、お手軽手法だから。

　この記事に「ヨーグルトは身体に悪い」なんて、書いてありませんよね。ヨーグルトの健康効果についての否定的な意見が主ではありますが、それが状況によりけりである事を明記してあります。何より、ヨーグルトに関する情報の一部しか扱っていない文章でもあります。ヨーグルトの特性をよく理解した上で、あなたにとってそれが必要な食品なのか不要なのか、自分で考え、自分で判断するべきという事です。

　テレビCMに洗脳されると、ロクな事ないです。自分の頭でしっかり考えないと、自分を守ることが出来ません。昔も今も、そして未来も、そうあり続けると思います。

治療奮戦記へ戻る。

適応疾患一覧へ