うつ病はなかなか周囲の人に理解されないことが度々あり、理解してくれているつもりであっても、実際に本当にうつ病になった事が無いとわからないかもしれません。
うつ病は怠け病ではない、の記述と公開に時間がかかった。
高木の発病当時の状況
高木治療院の鍼灸師でこのホームページの製作者である私、高木が某鍼灸院助手として修行中、24歳の時、毎日時間に追われて睡眠不足や多くのストレスを受けたのが原因なのか、ある朝突然うつ症状に襲われ、一時的に勤務が出来ない状態になってしまった事があり、3日間連続で欠勤したことがあります。サボりたかったのではなく、本当に仕事に行けなかった状態でした。
欠勤した3日間、ただ仕事をさぼったのではなく、耐え難い苦痛ばかりの3日間なのです。うつ病を知らない人には理解しがたいと思いますが、仕事に行っていないくせに、仕事に行かなかった、いや、行けなかった事に大変強い罪悪感を感じるのです。実際、会社の前まで来たときに、原因不明な恐怖感に襲われ、自分がこの場所に来たという痕跡が無い今のうち(同僚にまだ姿を見られていないうち)に帰ってしまいたくなり、家に引き返してしまうのです。原因不明な恐怖感というのは、なかなか言葉で表現出来ないのですが、一日の仕事が始まってしまうことがとにかく怖い、なぜ怖いか自分でもわからないけど怖いという、自分でも理解も把握も出来ない恐怖感なのです。
「行けない事に罪悪感があるなら行けばいいだろうが」って健康な人なら当たり前にそう思うのですが、その罪悪感以上の恐怖感に襲われて行けなくなるのですよ。さらに何が恐怖なのだか私にもわからないし、おそらく他の誰よりも私自身が「何が恐怖なのだか」を知りたがっているのです。そんな混乱と欠勤した罪悪感を抱えて家で過ごす事がいかに苦しいことか、さらに今回の欠勤を期に、自分が怠け者呼ばわりさせるのではないかという恐怖も加わり、その精神的苦痛は筆舌に尽くしがたいものです。
仕事復帰後、うつ病を知らない健康な方達からは、「あの頃天気良かったしなぁ、どこか遊びに言ってきたんとちゃう?」、「何やっとんねん、情けない」、「やる気が無いんちゃうの?本当に辞めたら?」、「信念が足らんからそうなるんや!」、「みんな頑張っているんやから負けるな!」などと「励ましの言葉」を言われ続けて本当に苦しかった事を記憶しています。完全に怠け者の烙印を押された状態になったのが何よりの苦痛で、全てを捨てて逃げ出したくなりました。
気持ちを察してくれて、何も聞かないでいてくれた人に対しても、自分の事を怠け者だと思っているんじゃないかと猜疑心が強く、自分に味方は一人も居ないと本当に思い、本当に孤独である寂しさと恐怖に襲われました。今ならあの「励ましの言葉」が本当に自分を心配して言って頂けたと本当に理解出来でおりますし、感謝しています。
うつ症状のあった時は、自分で自分がどのような症状であるかなど、把握出来ずに相当に苦しい思いをしました。多分自分は仕事のストレスでノイローゼになってしまったのだろうと当時はそう思っていた。病院には行っていません。病院に行ったところで、カウンセリングと称するろくに話も聞かない安易な気休めをされ、何の解決にもならない精神安定剤が出されて、さらに不安定な状態に陥ってしまわれた「うつ病患者さん達」を多く知っていたのがその理由です。
*ノイローゼ
持続的なストレスなどで精神に異常をきたし、通常の精神活動を行うことが難しくなっている精神的な不調のこと。育児ノイローゼなんていう言葉はよく聞きますよね。
私が現代医学的な「うつ病」治療に納得のいかない点
現代医学的に「うつ病」の発症メカニズムは、脳内神経伝達物質のバランスの乱れがストレスなどにより起こされたものという。だから、抗うつ剤などの薬でもって乱された脳内伝達物質を薬の作用で補って症状を緩和するのが治療で、うつ病が治るまで地道に薬を飲み続けましょうと病院や製薬会社はアピールしている。
一見ごもっともな説明のようですが、おかしいと思いませんか?脳内神経伝達物質のバランスを乱している原因を野放しにして、乱された脳内物質量を薬でもって対処しているだけという事。
これを火災に例えて説明しますと、放火による火災が放火魔などにより起こされたもので、消火活動でもって放火による火災を消して火災を緩和するのが重要で、火災が治まるまで地道に消火活動を続けましょうと誰かはアピールしている。
そうです、放火魔などを逮捕しない限り火災は治まりません。根本的な解決が本当に必要なのです。抗うつ剤や精神安定剤を飲み続けても、それは脳内神経伝達物質のバランスの乱れを起こす原因に対して何の変化も与えないので、薬でうつ病は治らないということです。
そして、まず脳内神経伝達物質のバランスの乱れを起こす原因がストレスなどにより起こされたというが、そのストレスなどって一体何を指し示しているのでしょうか?
それと、脳内神経伝達物質のバランスの乱れを起こす原因がストレスなど以外に考えられないのですか?ということ。
さらに、病院や製薬会社のホームぺージでは、抗うつ薬には常習性や習慣性は無いと断言してしまっていますが、麻薬のような薬理作用が理論的に無いというだけで、実際には常習性があると言えると私は思います。”薬を飲んだという安心感を精神的に欲する”という常習性はとても多く見られると思うのですが、そのあたりどう考えているのやら。それは医学的には常習性とは言わないのだよ、なんて説明されそうです(理屈が屁ですね)。
おまけにもう一つ。現代医学では、投薬・安静・カウンセリングでうつ病を治すと説明していますが、「あなたはうつ病です」と医者から宣告されること自体が脳内神経伝達物質のバランスの乱れを起こす原因になったりはしないんでしょうかね。
高木治療院で出来ること
うつ病は、なかなか治りにくいものですが、自分の場合に幸いしたのが、自分自身が鍼灸師であった事。毎日自分の体調を東洋医学的にチェックし、健康状態が下り坂であれば自分で自分に鍼灸治療が出来るし、食養生も出来るので、体調を整えることにより大幅な気分の落ち込みを未然に防ぐ事が出来ます。もちろん私自身抗うつ剤や精神安定剤などには一切頼りません。
うつ病患者さん達への治療経験と自分自身の経験と重ねて考察することにより、うつ病の症状を本当に体質の根本から改善、回復するために必要なのは、抗うつ剤や精神安定剤を使うことではなく、己の身体を知り、身体症状と精神状態が密接に関わっている事を自覚し、鍼灸治療や自己管理にて体調を整えることにより大幅な気分の落ち込みを未然に防ぐ事であると現在は考えています。(これはうつ病の患者さんだけでなく、様々な悩みを抱える多くの人にとって有用な考えであるかもしれません。)
そして、うつ病患者さん達にほぼ共通して現れる、東洋医学的に診て特有の内臓の弱り方や脈の打ち方と、それを改善・回復させる方法が治療経験から解ってきました。この特有の「内臓の弱り」と「うつ症状」には密接な関係があり、この「内臓の弱り」により「うつ症状」が引き起こされる状態が把握出来てから、治療成績が格段に向上しました。
学生時代に習った「うつ病に対する頭皮鍼通電療法」にあまり効果が無い理由も同時によく解り、現在では自信を持って「うつ病」患者さんの治療に取り組んでおります。
ここで書いている「内臓の弱り」につては、現代医学的な解釈が見つかりません。無理に例えて書けば誤解を産むばかりなので例えません。現代医学の語る脳内神経伝達物質のバランスの乱れを起こす原因として私の語る「東洋医学的に診る内臓の弱り」があるのではないかというのが、治療経験や自身の体験などを総合して考察し導き出した、私の持つ科学的根拠の全く無い仮説です。
当院の鍼灸治療で、本当に「うつ病」から「普通の人」に戻れた人と、当院の治療を途中で辞めてしまう人。最近の割合としては3:7くらいですね、残念ながら途中で止めてしまう人の方が多いです。でも途中で止めてしまう人でも、ほとんどは、当院の鍼灸治療により薬の量が半分以下に減少したり、複数ある不定愁訴のうちの半分以上が消失したりと多種改善はしているのですが。
発症から期間の長い人ほど回復が難しいです。
病院での治療を続けながらでも、当院の治療を受ける事が出来ます。診療内科での治療に疑念ある方、当院の鍼灸治療による「うつ病」治療を受けてみて下さい。投薬とは明らかに違う症状の回復があります。
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