不妊治療と東洋医学と鍼灸(治療奮戦記より)
残念ながら、現代の産婦人科の不妊治療は、患者さんそれぞれの体質は軽視(ほぼ無視?)されてしまっていると私は考えています。産婦人科に限ったことではありませんが。
とりあえず科学的にある程度証明されて、大学の教授さんやら厚生労働省の役人さんらにお墨付きを貰っている事柄、血液の成分の比率やホルモンの分泌量、生殖器の解剖学的な異常の有無などに限っては、とても緻密な検査・治療が行われていますが、それで患者さんの身体の状態が全てわかるものでは無いにもかかわらず、実際なかなか妊娠が叶わないのに
「異常は見当たりません」と断言してしまい、患者さんの心を傷つけるということが日常茶飯事になっているのでは?と考えるのです。
さらに、病院に通院を続け、病院とはどういった所なのかを通院により体感し続けていると、いつのまにか「体質の軽視」は患者さんにとっても当たり前の事になっていってしまう場合も多くあります。何度も病院に行き「大した事ありませんよ」と繰り返し医師に言われ続ければ、「私は健康上の問題があまり無く、今はまだ妊娠していないだけ。」といつのまにか洗脳されていて、高木治療院に行って症状の原因は東洋医学的に診れば、明らかにここに改善すべきものがあると細かく説明を受けても、「私は検査で異常が無いから・・」が、なかなか抜けないという場合がよくあるのです。
若干話が脱線したところで、本題に入ります。不妊治療を目的として高木治療院に通う方々は、どうして当院に来ることにしたのか、一番多いケースが、産婦人科で不妊治療を続けてきたけれど、どうも治療に行き詰まりを感じたという方々です。産婦人科での検査や治療そのものに精神的苦痛や疑念を感じたという方、年齢の問題で遠まわしにあきらめることを勧められた方、投薬により体調が悪化するのに、それしか手段が無いと言われた方も多く含まれます。
全ての産婦人科とまでは言いませんが、通常、西洋医学的な検査結果以外のことは完全に軽視されます。なので、食事をはじめとする日常生活への指導などは、ほとんど無いのが現状と思います。実際、「婦人科で、日常生活や食事についてのアドバイスなどは何かありましたか?」と、来院された不妊症治療希望の方には必ずお聞きするのですが、90%以上の方が、特に何も言われなかったと回答しています。
東洋医学的に診て、たとえば改善すべき冷え性のような状況があるとすれば、それが不妊の根本的原因となっている事がよくあり、食事の内容と普段の冷え対策としての服装の注意が充分なされるだけでも、不妊症を治してしまうケースが多々あるのです。子宮・卵巣の機能の低下の原因がホルモンだの何だのと難しい話の前に、冷えれば身体機能は卵巣に限らず低下するという単純なところがおろそかになって本末転倒、冷えているのに無理矢理ホルモン剤で卵巣にムチ打って体調が悪化、冷え性も悪化、当院に来られる患者さんに最も多いケースがこれです。(全ての不妊症の方がこの状態という事ではないですよ)
だからといって、「○○は身体に良い・悪い」なんていう、人それぞれの体質一切無視のテレビの健康番組や健康食品会社の情報などの真偽を考えもせず鵜呑みにしても、ほぼ無駄と思います。例えば、冷えているからショウガを沢山摂ろうみたいな安易な考えは、状況を悪化させる場合が多々あります。食事に気をつけるということ自体を軽視するのは、体質を軽視し、健康を軽視するのと同じ事になってしまうと思います。
現代医学にとって「冷え性」をはじめ色々ある不定愁訴は、治療の手段もなければ直接命取りにならないから軽視されていまして、でも案外それが一見原因不明と思われる様々な症状の根本原因になっていたりする、ということを日々の治療で実感させられています。
産婦人科の不妊治療が適している方は大勢いらっしゃると思いますが、全ての患者さんにとって病院の不妊治療が最適とは到底思えません。
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不妊治療とその家族(治療奮戦記より)
残念ながら、不妊症の根本的な原因が医学とは別のところにある場合、あります。場合によっては医学的な問題よりも深刻で解決困難なこともあるでしょう。そしてそれが医学の検査結果に異常として現れ、その原因は正体不明のまま、ということも。
産婦人科では東洋医学的に診れる体質を軽視しますし、患者さんの精神状態も、専門外だと言って軽視するでしょう。軽視なんてしないと言う医師の中には、安易に心療内科に患者さんを廻したりする人も居るのでしょうが、それが適切な対処と言えるのか、疑問に思います。
不妊治療を受けようと思う、その動機は人それぞれ違うもので、中には自分としては不本意ながら、ある種の圧力により仕方なく不妊治療を受けに行かされている方も実際多くいらっしゃるのです。(平たく言えば義母からの圧力などです。)この種の圧力というのは、親族からの精神的圧力など、それなりに限定出来る場合もあるし、そうでないもっと複雑な場合もあり、さらに患者さん本人にその自覚が無い場合など、実にさまざまです。
「原因はよくわかっていませんが、疲労やストレスといったものが考えられています。」という文言、実に色々な症状の原因の説明に使われています。産婦人科の領域でも例外ではなく、「○○ホルモンの分泌量が基準値以下になっていますが、ストレスも要因の一つと考えられます。」と安易に表現されたりもします。このストレスが、ある種の精神的圧力だという場合も多くあるだろうと、鍼灸師の高木は考えています。
病院では、ストレスという安易な表現にまとめて、それに対する処置の手段をほとんど持ち合わせていないので、特に問題にすることは残念ながら無いし、唯一の手段が精神薬投与、これでは元も子もないと思います。
ある種の圧力が軽減あるいは消失すると、現代医学的に不思議なことが起こります。ストレスが軽減されるとともに、異常値を示していたホルモン量の数値が平常値に戻ったり、低すぎた体温が上昇して妊娠にとても有利な体質へと改善されるなどの現象が起こるのを、現代医学では不思議なことと表現するようです。
ストレスが原因であろうと説明しておきながら、その説明した側がストレスと身体の関連を不思議に思ってしまうという、そんな現代医学が不思議と思うのは私だけではないと思います。
不思議でもなんでもないです、それが人間というものだと思います。「心と身体は全くの別物であるという信念」を持っている人、そしてそんな信念を持っていることにすら気づいていない人は、本人は否定するでしょうが、心というものを完全に軽視しています。そして検査結果の数値にのみに踊らされ、真実を見失っています。
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産婦人科で行われている、人工授精や体外受精での妊娠の成功率、理論だけで考えれば相当な高確率になると思うのですが、実際の成功率は、とっても低いんですよね。この低さが何を意味しているのでしょうか。心の軽視、体質の軽視とは無関係でしょうか。受精卵の着床と子宮と体質と精神状態の関連について、考えている医師ってどの程度いらっしゃるのか、多分ほとんどいないのだろうと鍼灸師の高木は実感させられています。
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不妊症に悩む家族・親族・友人が今現在いるという方、あなたは不妊症に悩むその人の味方ですか?それとも敵ですか?味方のつもりでも実際は敵のように振舞ってしまっていませんか?
大事なのは不妊症に悩む人のことなのか、それとも単に自分のエゴを大事にしてしまっているのか、とても難しい問題です。
嫁に早く妊娠してもらいたい姑が根本原因になってしまっている悲しい不妊症など、ものすごく治療が難しいのですよ本当に。だって根本原因に加害者意識が皆無なのですから。
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