赤ちゃんに鍼治療。私が修行させて頂いた大阪の鍼灸院では日常的な光景でした。赤ちゃんに行うハリ治療といっても、他のページで紹介してある、銀杏形の金属のへらのようなものを使い、腕や足、背中や頭を、服着たままの軽くさするような低刺激の施術です。刺しませんので無痛です。
疳の虫。お子さんがヒステリックに遠い目線で奇声をあげたり、自虐的な行動(頭を床や壁に打ちつけるなど)を起こしたりと、親に大きく不安を与えます。
一見とても常軌を逸しているような行動ですが、赤ちゃんの意思表示としてのものと考えられます。当然の事ながら、赤ちゃんは言葉を話すなどまだ出来ないし、何か不快なこと(痛い・かゆい・暑い・寒い・冷たい・寂しい・苛立つなど)に対して、それを解決するにはどうすればよいのかを考え、何かジレンマに陥って状況に混乱する事もあるだろうし、思いどおりに事が進まず発狂することもあるでしょう。
赤ちゃんは発育途上、体中の神経の伝達は思い通りにいかないので、思う通りに手足は動かないし、不快な感覚(痛い・かゆいなど)に対処する術もまだ判らないものと思われます。
赤ちゃんの疳の虫に鍼治療がなぜ効くのか。東洋医学では赤ちゃんの身体を巡る経絡(気が通る道のようなもので、この経絡の上に経穴(いわゆるツボ)が存在する)は未発達であり、気の流れが滞れば疳の虫をはじめ種々症状や不快な感覚を引き起こすが、鍼治療によりその滞りが解消されれば、不快な感覚は同時に消え去ると。実際効果は高く、ひどい夜鳴きなども数回の治療だけで高い確率で良くなることが多いです。
赤ちゃんの心の状態と疳の虫との関係は重要で(疳の虫だけでなく、赤ちゃんの健康そのものとの関係も深い)赤ちゃんの心の状態はお母さんの心の状態をよく反映しています。「あまり泣かず、手のかからない子」は一見育児が楽そうな印象がありますが、母親が子への関心を薄めた時、子は病気になります。
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