ここに記すのは、
今まで様々な治療を行ったが治らないの最初の例のような話です。素人考えで悪化する症状例も、軽症を難病として扱うようになってしまう例になります。
治療効果に非現実的・過剰な期待をしては失望するの繰り返しで、まるで、己を過大評価して理想の職場を求めては転職を繰り返す「青い鳥症候群」のように、地道な治療を続けられずに理想の治療を求めては放浪を繰り返し、抱える軽症を自分で不治の病にしてしまいがちです。
ある時、当院にごく軽症のぎっくり腰を起こしてしまった患者さんが来院されました。痛みは強かったようですが、原因としては大した事なかったので治療も簡単で、一回の治療でほとんど楽になった様子。一回の治療で楽になったという話を会社の同僚にして、数年来の慢性腰痛を持つその同僚の方が当院に来院しました。
「腰痛が一回で治る」というその腰痛の質があまりにも違うということは、長年腰痛を持ち、そして通常の判断力を持っていれば解かると思うのですが、「青い鳥症候群」のように、地道な治療を続けられない人は、一回で治る簡単な方法が必ずあるはずだと、当院に、非現実的・過剰な期待を持って来院します。
患者さん「彼(同僚)がここで一発で腰痛が治ったと聞いて来ました。」
5年前にぎっくり腰を発症してから、慢性的に腰の不調を抱え続けてきた状態ということでしたが、およそ5〜6回の治療で完治出来る見込みが充分ありましたので、その旨細かく丁寧に説明しながら治療を行いました。治療後立ち上がってもらい、腰の動きを確認してもらうと、明らかに前後左右への動きが良く、本人もそれを確認するが、あまり嬉しそうではない様子。
患者さん「まだ治ってないんですけど・・。」
この種の患者さんは、説明しても認めてくれません。完治までおよそ5〜6回の治療が必要と細かく丁寧に説明したのに、今完全治癒していないことを不満だと言うのです。
通常の判断力のある人なら、喜んで下さる結果だと思うのですが、この方は不満そうに帰られました。治療を継続する意志は無いようです。
楽して儲かる方法があるに違いないと、まともな仕事を辞めてマルチ商法をはじめてしまう人のように、苦労なく痩せられるという夢のようなダイエットを求め、運動することを諦めて高額無価値商品を買い続ける人のように、地道な治療を無視してインチキ整体療法とか自称神サマみたいな場所にいづれ向かってしまうのでしょうか。
物事の本質を正常な判断力をもって冷静に見ようとしない人は、何をやってもうまくいかないのは当然であると私は思います。
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