残念ながら、予防医学は流行りません。よほど自覚症状が強くない限り、痛みが我慢出来ない状況にならない限り、根本的な解決のために行動を起こそうという気にはならない、という人が大多数だと思います。そして、一時強かった自覚症状、痛みが我慢出来る程度になると、根本的な解決のための行動など止めてしまう。いわゆる「喉元過ぎれば・・」の喩えの如く、です。
「私は元々身体が弱いんです。」「そういう体質なのです。」
と、誰かが言ったとして、多くの人がその人の言葉に疑いを持たないでしょう。が、それが真実でない場合が多いというのが現実、と高木は思っています。
「私は元々、風邪を引きやすい体質なんです。」と仰る患者さんが目の前にいるとします。 ちょっと質問をしてみましょう。
高木：普段の睡眠時間は、どれ位ですか？
患者さん：えっと・・、大体5時間位だと思います。
高木：朝は何時に起床されるのですか？
患者さん：出勤時間の都合で、朝6時に起きないといけません。
高木：つまり就寝時間は午前1時とか、それよりも遅いということですね？
患者さん：・・・早く寝るようには心がけているのですが・・・。
高木：午前１時まで就寝出来ないほど、お忙しいのですか？
患者さん：・・・いいえ・・・テレビ見たり、パソコンとか携帯とかを・・。
睡眠時間についての質問をすれば、大体こんな感じの返答になります。食事の内容や、日ごろの運動量なども、とても健康とは言い難い内容の返答になるのが定番です。
残念ながら、風邪を引きやすい人は、風邪を引きやすい生活をしているという場合が多いです。そして、健康に対しての意識が低い人が多いです。
「私は風邪を引きやすい体質なんです。」と仰る患者さん。風邪を引きやすいのは体質であると決め付けることにより、だらしない生活態度を反省することも無くなります。
「家系的に腰痛持ちなんです。」という言葉、痛みが少々マシになれば放置する、場当たり的な対処を正当化出来る大義名分として便利な言葉ですね。
長年臨床に携わり、数万時間と患者さんの治療を行ってきましたから、この手の事柄は、すぐ判ってしまいます。各患者さんの、治療に対する真剣度、健康に対する意識の高低が、患者さん自身の言葉に嘘偽り無く表れます。
場当たり的な対処しかしない人が大多数です。だから格好付けなくてもいいんです。「もっと早く治療しないととは思っていたのですが・・」なんて仰らなくても良いのです。つもりがあっても行動になかなか起こさない。いつかやろうと思って、いつまでもやらない、それが人間です。
等身大の自分で、全然良いじゃないですか。背伸びしたって何の自慢にもなりません、誰も得をしません。健康のために、しっかり自己管理が出来ている人なんて、極めて少数です。滅多にお目にかかることがありません。 言葉は悪いですが、だらしないのが普通です。なので、どうぞご安心を。治療に興味がありましたら、ご予約をどうぞ。
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