前のページで、
マクロ栄養素でのカロリー計算の方法を説明しました。例に挙げました吉野家やミスタードーナツの食品であれば、カロリーを知るのは簡単、計算済の資料としてインターネットに公開されていますので、それを見ればいいだけです。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアにて販売されている食品のほとんどは、
その製品の包装に、マクロ栄養素の含有量が明記されています。それが、「
栄養成分表示」です。
スーパーマーケットに陳列されている商品を手に取るや否や、クルっとその製品を裏返し、しげしげと見つめては次の商品を手に取り・・みたいな人、居ますよね。筆者もその一人なのですが、これは「
栄養成分表示」をチェックするための動作である場合がほとんどであると思います。
栄養成分表示は、その製品の箱の裏か側面に記載されているパターンが大多数なので、そういう動作になるのです。
栄養成分表示をチェックする習慣が付くと、同時に
マクロ栄養素量を見た目だけで大まかに把握する訓練にも自然となり、ダイエットをしたいという方には、是非ともこの習慣を身に着けて頂きたいと、筆者の高木は強く願っております。
栄養成分表示、もちろん疑いの目も持ちながら見ましょう。
それでは、実際の「
栄養成分表示」を例示してみます。上記表示は、セブンイレブンにて販売されていた、とあるレトルトカレーの
栄養成分表示です。販売される調理済の食品には、このような
栄養成分表示をすることが、国の法律によって義務化されています。
*
ただし、小規模事業者の製品など一部免除の対象あり。
その表示の仕方について、国の「
食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」が、インターネット上に公開されています。でもこれ、表紙や目次を除いて25ページもある文書です。なので、内容の理解については、これを喜んで隅々まで読みたがるこのページの筆者のような変人が行い、その中でダイエットにとっての必要な情報と思えるものをピックアップしてみたいと思います。
*もちろん、上記ガイドラインを全ページ熟読する事をオススメします!
〜 ガイドライン5ページ目より 〜
栄養成分表示の基準:熱量(総カロリーのことですね)及びたんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(表示するときは食塩相当量に換算すること)の栄養成分並び任意表示である表示をしたい栄養成分の表示基準を定めている。
・・その食品のカロリー、そして
マクロ栄養素の各分量を明記しなければいけないって事ですね。
〜 ガイドライン11・12ページ目より 〜
調理加工時に油で揚げる工程がある場合、吸油率(どれだけ油を吸っているかの割合)に従い、使用した油の栄養成分を加味する。
油の吸収率の目安
素揚げ:吸油率10%
唐揚げ:小麦粉5%・卵5%・吸油率10%
天ぷら・厚い衣:小麦粉8%・卵8%・吸油率15%
・・
素揚げで食品重量の10%の油コーティングがされるという目安ですね。
でも、目安にしては大雑把ですね。
素揚げと唐揚げで乗っかる油の量が同じであるとは、とても思えないのですが・・。
さらに、
厚衣の天ぷらの油量が、素揚げの1.5倍程度で収まるようには、到底思えないという感想を持ってしまうのは、筆者の高木だけではないと考えられます。
このガイドラインには、勿論
「油揚げ食品を製造する場合、原料に加えて油の吸収の程度によって、脂質の成分量が大きく変化する」という但し書きがしっかりと添えられていますが、定義がイマイチ不明瞭なので、データ偽装のスキが大いにある項目と思えます。
見るからに
油ベッタリなのに、表示されている
脂質量が低く記載されているような食品には、要注意です。手を出さぬが吉でしょう。
〜 ガイドライン21ページ目より 〜
表示する食品単位:加工食品等に表示する場合の食品ごとの単位が決められており、100gもしくは100ml又は1食分、1包装、その他の1単位等。ただし、栄養成分表示しようとする食品単位が1食分である場合にあっては、栄養成分表示しようとする1食分の量を示す。
この部分、重要です。製品に記載されているカロリーが、100グラムで何カロリーなのか、それとも1食分の180グラムで何カロリーなのか、1包装6人分合計のカロリーなのか、その
記載単位は製品によりバラバラであるという点が、とても紛らわしいです。
そして、
この紛らわしさを意図的に利用して、一見カロリーが低そうに示すテクニックがしばしば使われています。
某有名食品メーカーの某カレールーです。
一般的なカレールーって、
脂たっぷりのブロックなので、1箱あたりの
カロリーを記載してしまいますと、
太りそうなイメージが強くなってしまうから、こんな風に、まどろっこしい記載法にしているのでしょう、おそらく。しかも、表記は箱の側面に小さく。
1箱あたりの内容量表記は、さらに悪質。反対側の側面に、ひっそりと・・。
こんな悪事、暴いてやります。
マクロ栄養素の知識を生かし、1箱あたりの
栄養成分表示を示して差し上げますわ。
●ー●ントカレー(甘口)1箱115gあたりの栄養成分
エネルギー 600kcal 炭水化物 51.6g
たん白質 6.6g ナトリウム 4980mg
脂質 40.8g 食塩相当量 12.6g
なるほど、これはインパクト大ですね〜。
なんと35%以上が脂!!
塩が大匙1杯に迫る量!!
でも、冷静に把握しましょう。これはカレー6人前を作る時に使われる量である、ということも重要です。イメージに惑わされることなく、しっかりと事実を把握することが大事です。
〜 同じく21ページ目より 〜
ナトリウムの量に2.54を乗じた値を食塩相当量として表示すること。
・・食塩とは、塩化ナトリウムのことを指します。塩分の含有量を少なく勘違いさせる手法として使われてきた「
ナトリウム量表記」の
単独使用を禁止した、と考えていいでしょう。グレーな手法、多くの食品メーカーが行ってきましたし、行っているのですよ。
例えば、食塩12gも含む食品に、こんな表示を付ける手口。
「ナトリウム分5g未満!減塩生活で健康的に!」
ウソではないですが、ナトリウム5gで食塩12.7g相当になると知っている人は少ないと思われます。
〜 ガイドライン23ページ目より 〜
許容差(つまり誤差と認められる差)の範囲について:栄養成分表示の妥当性は公定法による分析により確認され、表示値に対する分析値の比率が許容差の範囲外であった場合、食品表示基準違反となる。許容差の範囲は、熱量(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムどれも −20%〜+20%。
食品の栄養成分、確かに厳密に数値を揃えるのは事実上不可能ですから、数値に誤差が生じるのは仕方ないことではあります。例えばトマト100グラムの栄養成分は、その種類や生育状態によって、糖度が高いフルーツのような甘味を持つものから、スッカスカで水膨れしたまずいものまで、含有する成分の比率は全く一定にはなりません。
にしても・・結構許容される誤差、大きいものですね。500kcalの食品が、実際には600kcalであったとしても、ギリギリのセーフ、食表示基準適合法ってことですからね。
栄養成分表示のためのガイドラインについて、留意しておきたい点は、こんな所でしょうか。とにかく、何となくなイメージではなく、具体的なデータを冷静に把握することこそ大事です。
栄養成分表示の数値は、その正確性を鑑みれば、あくまでも目安での活用が望ましい、と言った方が良いのかもしれませんが、それでも重要な情報です。
カロリー摂取の指標として、かなり参考になる数値となり得ると思います。
カロリー計算して献立を作成し、実際に食して体重変化を観察する、そして体重変化と日々摂取カロリー値について考察する際に、表示カロリーの誤差をしっかり考慮すれば、それで良いのです。
このページのまとめ
● 栄養成分表示をしっかり見て、マクロ栄養素とカロリー値を把握しましょう。
● 栄養成分表示の単位に注意。
● 栄養成分表の数値は、目安としてダイエットにとって重要な指標となり得る。
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その2
カロリー計算で、摂取量を徹底管理。
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