前ページにも記述させていただきましたが、普段の食生活において、その
PFCバランスについて考える習慣の無い日本人の食事は、ほとんどの場合、たんぱく質不足の脂質過多に陥ります。何となくな健康的イメージを根拠に置いた和食メニューを意識した所で、
せいぜいたんぱく質不足の糖質・脂質過多気味な、PFCバランスのあまり良くないものになるのが関の山であると、高木は確信しています。
それでは、お尋ねします。
たんぱく質を多く摂取しようと思った時、どのような食材を思い浮かべますか?
動物性
たんぱく質であれば、牛肉、豚肉、鶏肉、魚、卵、チーズ、ソーセージ、ベーコン、牛乳、ヨーグルトなどでしょうか。植物性
たんぱく質なら、豆腐、納豆、豆乳、その他大豆製品といった所になるかと思います。
たんぱく質の不足があるというならば、上記食材を多く食べるようにすれば良いではないか、とお考えになるかもしれませんが、
そんな単純な話にはならないのです。
ビタミンBやカルニチンが豊富で、実はダイエット向き食材などと、
詐欺行為かなり無理がある宣伝文句が多々見受けられ、それにまんまと騙されてしまっている人が少なくない、ある食材を例に挙げてみましょう。栄養成分情報は、「文科省の食品成分データベース」の値を用いてみます。
豚肩ロース(可食部100g)のマクロ栄養素
たんぱく質 19.3g
脂質 19.2g
炭水化物 0.2g
では、そのPFCバランスを知るために、マクロ栄養素のカロリーを算出します。
たんぱく質 77.2kcal
脂質 172.8kcal
炭水化物 0.8kcal
PFCバランスのカロリー比率を算出します。
たんぱく質 30.0%
脂質 68.8%
炭水化物 1.2%
豚肩ロース肉、
100グラム食べても、摂取出来るたんぱく質は20グラムにも満たないという事実を、ご存じだったでしょうか?
そして、カロリー比率で見れば、
およそ7割が脂質からのカロリーです。さらにその
脂質には、
飽和脂肪酸が高比率で含まれています。
ブタミンパワーってやつですね、肥満体や動脈硬化をゲットするのにとても適した食材と言えますので、体重を増やしたい・血中コレステロール値を高めたい・もっと太りたい人という方は積極的に食べた方が良い食材である、と思えてなりません。
ただし、
脂身を完全に排除した赤身のみの豚肉であれば、ダイエット向きの食材に変わります。豚ロース肉、もも肉で
脂身を完全に切り取ってしまえばOKですし、豚ヒレ肉も
脂質がそこそこ少なくて良いのですが、それを美味しく調理出来るかどうかは???ですね。鳥ササミ肉より、値段的にもかなり不利ですし・・・。
上記文章で、筆者の高木が言いたかったのは、
「たんぱく質を摂ろうとすると、それ以上の脂質が付いてくる場合がとても多い。」という事です。
前のページで例に挙げました、
鮎の塩焼きも、そのカロリーのおよそ6割が脂質からのものでしたね。食材の栄養素についての知識無しに、
たんぱく質を充分に摂ろうとすれば、
脂質過多に陥ります。
「私は主に納豆や豆腐でたんぱく質を摂るようにしているから大丈夫です!」と言いたい方のために、納豆と豆腐の栄養成分を記載してしまいましょう。
納豆(1パック 40g)
たんぱく質 6.6g
脂質 4.0g
炭水化物 4.8g
カロリーを算出
たんぱく質 26.4kcal
脂質 36.0kcal
炭水化物 19.2kcal
納豆1パックに含まれる
たんぱく質は、わずか6.6グラム、そして
脂質4グラムのおまけ付きとなっております。
納豆のカロリーの45%が脂質のカロリーです。
続きまして、木綿豆腐の栄養成分です。
木綿豆腐(1丁 350g)
たんぱく質 23.1g
脂質 14.7g
炭水化物 5.6g
カロリーを算出
たんぱく質 92.4kcal
脂質 132.3kcal
炭水化物 22.4kcal
木綿豆腐1丁
350gに含まれるたんぱく質は、23.1グラム、
鳥ササミ100gのたんぱく質量に近いです。つまり重量にして鳥ササミ肉の3.5倍食べて、やっと同量の
たんぱく質が摂れるという事です。そして
脂質14.7グラムのおまけ付きです。ちなみに
鳥ササミ肉は100gあたり脂質はわずか1.1gですよ。
木綿豆腐のカロリーの53%が脂質のカロリーです。アブラっこさなど感じない食材のように思われがちですが、実は
脂質たっぷりなのです。
知らないって恐ろしい。
このページの冒頭にて、
「何となくな健康的イメージを根拠に置いた和食メニューを意識した所で、せいぜいたんぱく質不足の糖質・脂質過多気味な、PFCバランスのあまり良くないものになるのが関の山である。」と書かせていただきましたが、これについて一応ご納得頂けたのではないかと思います。
栄養成分を意識していないと、思いもよらぬ所から、
大量に脂質を摂取してしまうものです。
ここでもう一度、厚労省基準の推奨
PFCバランス値を見てみましょう。
たんぱく質 13〜20%
脂質 20〜30%
炭水化物 50〜65%
”高木の意見としては、「PFCバランスを全く考えていなかった人が、とりあえず目標とするには、大変相応しい妥協ライン」と考えています。”
と、前ページで書きました。さらに言わせていただきますと、ダイエットする上では、
脂質の摂取比率を20%前後にすることが望ましい、と考えています。
次のページでは、その
脂質について細かく説明します。
脂質というものが、いかにダイエットにとって重要な栄養素であるのか、
なぜその摂取量に対して敏感になる必要があるのかを、しっかりご理解頂くために、事細かく説明していきたいと思います。
脂質について、知らないと怖い事が沢山ありますよ・・・。
このページのまとめ
●和食メニューでも脂質が少ないとは限らない。
●栄養成分を意識しないと、脂質摂取過多、つまりアブラの摂り過ぎになる。
●PFCバランスを整えるためには、脂質の量を把握することが重要。
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