「マーガリンは身体に悪い」、という事を何となく聞いたことがある方、多くいらっしゃるかと思います。食用の油に水素添加することで作られる人造バター、分子構造を変化させて調味料を加え、バターのような食品に仕上がります。
不飽和脂肪酸を
飽和脂肪酸に変えて、
硬化油(常温で固まるようにする)化させるです。この製造過程で発生してしまう(飽和脂肪酸になりきれない分が一部どうしても出来てしまう)
トランス脂肪酸、摂取量が一定量を超えるとLDLコレステロール値の増加とHDLコレステロール値の減少・心臓疾患にかかりやすくなる事が、研究により確定的な根拠ある情報となっています。
トランス脂肪酸の摂取量が一定量を超える、その一定量とは具体的にいかほどかという所が重要になってきますね。WHOが示す摂取量の推奨値が、1日の摂取カロリーのうちの1%未満、もし1日のカロリー摂取が2000kcalであれば、その1%が20kcal、脂質カロリーが1gで9kcalですので、2g上限とすれば確実に1%未満になります。国産マーガリンのトランス脂肪酸含有率を8%とすると、なんと
マーガリン30グラムだけでトランス脂肪酸の摂取量超過になります。
マーガリン・ファットスプレッド・ショートニング、洋菓子の材料に沢山使われる油脂ですね、どれも
トランス脂肪酸豊富な油脂です。パンやクッキーにも多く使われますし、我々の食生活の中の奥深くまで、その存在は浸透しています。
脂質の摂取量を気にしていない人で、パン好き・洋菓子好き・外食が多い・スナック菓子好き・ジャンクフード好きでよく食べるという肥満の人の多くは、
確実にトランス脂肪酸摂取量過多に陥っていると考えて間違いなさそうです。脂質摂取量、今すぐ気にしましょう。
逆に、
PFCバランスを意識して、1日の
総脂質摂取量を60g未満に抑えることが出来ていれば、全く心配いらない事柄となります。おそらく
トランス脂肪酸の摂取量は1日で0.5gにも満たないでしょう。
脂質の摂りすぎで良い事なんて全くありませんよね、是非とも気にしましょう。
不飽和脂肪酸とは?
食品に含まれる
脂質の多くが
不飽和脂肪酸を材料にした
脂質で、極端に偏った食生活をしていない限り、一日の脂肪酸摂取量の半分以上がこの
不飽和脂肪酸になります。さらに、
不飽和脂肪酸にも種類があり、それらをそれぞれバランス良く摂取すると健康に好影響をもたらすのですが、なかなかテレビなどでは偏った曖昧な健康情報しか流れておらず、残念ながらあまり意識されていません。
ダイエットにおいて意識して欲しい
不飽和脂肪酸の、大別した種類を挙げてみます。
● 一価不飽和脂肪酸
● n-6(オメガシックス)系脂肪酸
● n-3(オメガスリー)系脂肪酸
大別したこの3種を覚えておけば知識として充分と思います。
一価不飽和脂肪酸
「オレイン酸」という言葉をご存じかと思いますが、これは
一価不飽和脂肪酸の一種です。オリーブオイルや、なたね油などの脂肪酸の大部分が
一価不飽和脂肪酸で、ほかには牛肉や豚肉の脂の部分は、およそ30〜45%ほどが
一価不飽和脂肪酸で構成された
脂質です。とにかく様々な食材に含まれているので、極端な偏食でない限りは、摂取不足になる心配があまり無い脂肪酸であると思います。オリーブ油をサラダにドバドバかけたり、わざわざオリーブ油をそのままスプーンで飲むような行為は絶対にお勧めしません、消費を煽りたい業者にダマされて脂質摂取過多で太るなんて、お恥ずかしい事です。
オレイン酸について、やたらに健康効果を謳う文言がインターネット上に見られますが、過不足なく摂取するのが健全なだけのことですので、ご注意下さい。これはオレイン酸に限らず全ての種類の脂肪酸に言えることです。「不飽和脂肪酸はダイエットの強い味方です!」とか書いてあるようなサイトは無価値なので無視しましょう。
多価不飽和脂肪酸 n-6系脂肪酸 (オメガ6系脂肪酸)
「リノール酸」という言葉を食用油のCMなどで聞いた事があるという方は多いと思いますが、これは
n-6系脂肪酸(オメガ6系脂肪酸)という脂肪酸です。大豆油や菜種油・コーン油に多く含有しています。この
n-6系脂肪酸は、体内で作ることが出来ないにもかかわらず、身体にとって必要な脂肪酸であるので、食べることで摂取しなければならないのです・・が、これまたありふれた脂肪酸であるので、極端な偏食でない限り摂取不足になる心配がほぼ無く、
むしろ過剰摂取に気を付けなければなりません。
ファストフードやチョコレート菓子・スナック菓子を常食している人は、
n-6系脂肪酸の摂取過剰になっている場合がほとんどであると思います。摂取過剰での弊害は、心血管性疾患やガン・うつ病を患うリスクが増大するなど、ロクなことがありません。
PFCバランスを意識して、1日の総脂質摂取量を60g未満に抑えることが出来ていても、食事がわりにお菓子食べてしまっている人は、
n-6系脂肪酸の摂取比率が高くなっているかもしれません。
多価不飽和脂肪酸 n-3系脂肪酸 (オメガ3系脂肪酸)
「DHA」という言葉は、かなり有名であると思います。頭が良くなる栄養素と理解している人もいらっしゃるかもしれませんが、これらも脂肪酸です。
n-3脂肪酸の種類としては、
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、そして
α-リノレン酸(アルファリノレン酸)があります。
n-3系脂肪酸は、魚介類にDHAやEPAとして多く含まれています。また、しそ油・えごま油・亜麻仁油には
α-リノレン酸として多く含まれています。このn-3系脂肪酸は、体内で作ることが出来ないにもかかわらず、身体にとって必要な脂肪酸であり、食べることで摂取しなければならないのですが、意識しないと摂取する機会が大変少ない脂肪酸であるので、摂取不足になってしまっている人が多いのです。
n-3脂肪酸の摂取不足は、コレステロール値上昇に動脈硬化、血管が詰まりやすくなる血液凝固傾向、皮膚のしわやたるみの悪化、うつ症状の悪化、集中力低下(注意力散漫でキレやすい)、記憶力の低下など、とにかく深刻な状態を招きます。「DHAは頭が良くなる栄養素」などと考えるのはやめにして、DHAは足りないと頭が悪くなってしまう脂肪酸と考えた方がより正しいと、筆者の高木は考えます。
n-3脂肪酸の欠乏は、当然ダイエットにとって大敵となる訳です。食事を節制する場面において、うつ傾向・集中力低下・注意力散漫はダイエット挫折を招く主要因と成り得ますので、
n-3脂肪酸摂取不足は避けなければなりません。
なので、
脂質を魚から摂取する重要性が出てくるのです。
総脂質摂取量を制限しつつ、摂取する脂肪酸は必要な種類のものを摂る、これを意識するのとしないのとでは、ダイエット成功率に雲泥の差が出ます。
週に3回は、おかずに魚メインの料理を入れると良いです。えごま油や亜麻仁油を料理にかけたりしてα-リノレン酸を摂取するという手段もありますが、高価なんですよね・・・この手の油って。
いわし・さんま・サバの缶詰だったらDHAやEPAが豊富で安いしたんぱく質豊富で、カルシウムも摂れるし常温で長期保存出来て非常食にもなるし、手に入りやすいし、とにかく良いことづくめなのでお勧めです。
脂質について文章が長くなってしまいましたが、まだ続きます。次のページでは、ダイエット中に
脂質を具体的にどのように摂取するのが望ましいかについて、
脂質の摂取量を適正にする具体的なテクニックについて、お話しを書いていこうと思います。もっとさらに脂質について詳しくなりましょう!
このページのまとめ
● トランス脂肪酸は脂質摂取量を意識しないと、摂取過多になってしまう恐れあり。
● 不飽和脂肪酸の種類として、一価不飽和脂肪酸、n-6脂肪酸、n-3脂肪酸がある。
● n-6脂肪酸は、摂取過多に注意。 n-3脂肪酸は、摂取不足に要注意。
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